(令和7年度答申第5号) 答 申 1 審査会の結論  処分庁が,令和4年3月28日付け3調都外発第3620002号で「地盤調査に係る車両通行止めのお知らせ 他17件」を全部公開決定とした処分は,妥当である。 2 本件の経緯 年月日  経緯 令和4年2月22日  審査請求人は,調布市情報公開条例(平成11年調布市条例第19号。以下「本条例」という。)第6条第1項の規定により,市政情報公開請求書を処分庁に提出し,「調布市(都市整備部 環境政策課)が保有する東京外環道事業に関する,2021年12月28日〜2022年2月22日の期間に調布市が作成したり,外部から入手したり,外部に提供した文書・写真・Eメール等電子データを含む情報一式(原則電子データで交付を)家屋解体に関するものは除く」の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。  処分庁は,同日付けで本件市政情報公開請求書(以下「本件請求書」という。)を受理した。  令和4年3月7日  処分庁は,本件請求について,本条例第12条第2項の規定により公開決定等期間延長の通知を行った。  令和4年3月28日  処分庁は,本件請求について,本条例第11条第1項の規定により市政情報公開決定処分(以下「本件処分」という。)を行った。公開決定処分を行った市政情報の件名は下記のとおりである。(以下「本件開示文書」という。) ・地盤調査に係る車両通行止めのお知らせ ・外環事業大泉側シールドトンネル工事の「再発防止対策」および「今後の対応」などに関する説明会の開催について(お知らせ) ・外環事業中央JCT北側ランプシールドトンネルエ事の「再発防止対策」および「今後の対応」などに関する説明会の開催について(お知らせ) ・お知らせ ・大泉側シールドトンネルエ事の「再発防止対策」および「今後の対応」などに関するご説明【説明会賓料 概要版】 ・大泉側シールドトンネルエ事の「再発防止対策」および「今後の対応」などに関するご説明【説明会資料 詳細版】 ・中央JCT北側ランプシールドトンネル工事の「再発防止対策」および「今後の対応」などに関するご説明【説明会資料 概要版】 ・中央JCT北側ランプシールドトンネルエ事の「再発防止対策」および吟後の対応」などに関するご説明【説明会資料 詳細版】 ・東京外かく環状道路(関越〜東名)事業連絡調整会議について ・東京外かく環状道路(関越〜東名)事業連絡調整会議(第10回)開催結果について ・地盤調査状況及び地盤補修に関する検討状況の説明会資料等の配布について(お知らせ) ・地盤調査状況及び地盤補修に関するご説明へのご質問とその回答のとりまとめ ・大泉側シールドトンネルエ事の「再発防止対策」および「今後の対応」などに関するご説明へのご質問とその回答のとりまとめ ・中央JCT北側ランプシールドトンネルエ事の「再発防止対策」および「今後の対応」などに関するご説明へのご質問とその回答のとりまとめ ・東京外かく環状道路大泉JCT本線トンネル(南行)工事今後の事業用地内の掘進作業に関するお知らせ ・令3神明橋耐震補強及び補修工事のお知らせ ・東京外環道のシールド掘進工事再開中止,及び調布陥没地域の住宅地破壊をやめることを事業者に要請することを求めます ・東京外かく環状道路(関越〜東名)事業に関する要望について  令和4年6月28日  審査請求人は,本件処分を不服とし,審査請求書(以下「本件審査請求書」という。)を審査庁に送付し,行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「法」という。)第2条の規定により,審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。  審査庁は,同月6月29日付けで本件審査請求書を受理した。  令和4年7月27日  処分庁は,法第29条の規定により,弁明書(以下「本件弁明書」という。)及び証拠資料を審査庁に提出した。  審査庁は,同日付けで本件弁明書及び証拠資料を受理した。  令和4年9月2日  審査請求人は,法第30条の規定により,反論書(以下「本件反論書」という。)を審査庁に提出した。  審査庁は,同日付けで本件反論書を受理した。  令和4年12月21日  審査請求人からの申出により,法第31条の規定に基づく口頭意見陳述(以下「本件口頭意見陳述」という。)を実施した。  令和5年1月6日  審査請求人から補充的書面の提出期限延長を求める申出があった。  令和5年1月27日  審査請求人から「不服審査請求令和4年度第16号事件について,口頭意見陳述後の意見書」と題する書面が提出された。  令和5年2月14日  審査庁は,期限内に処分庁から補充的書面の提出がなかったことから審理を終結し,本条例第19条の2第1項の規定により,調布市情報公開審査会(以下「当審査会」という。)に諮問(以下「本件諮問」という。)を行い,諮問書とともに本件審査請求書,本件弁明書及び本件反論書の写し(以下「本件諮問書等」という。)を当審査会に提出した。  当審査会は,同日付けで本件諮問書等を受理した。 3 本件審査請求の内容 (1) 本件審査請求の趣旨  調布市長が審査請求人に対し行った本件処分を取り消すとの採決を求める。 (2) 本件審査請求の理由  審査請求人の本件審査請求書,本件口頭意見陳述,補充的書面及び本条例第24条に基づく口頭での意見陳述における主張はおおむね以下のとおりである。   ア 文書の特定について  令和4年2月22日付けの情報公開請求書で求めたものは,調布市が保有する東京外環道事業に関する令和3年12月28日から令和4年2月22日までの期間における作成・入手・提供文書であるが,そのうち都市整備部外環担当の処分を審査対象とする。  処分庁からは,18件の文書が公開されたが,これ以外にも公開,一部公開,非公開とすべきものがあるはずである。  該当する文書を具体的に示すことはできないが,住民団体や個人(外環被害住民連絡会・調布や被害住民など)と調布市との面談記録や問合せ・回答のやり取りのメールなどは,令和3年12月28日から令和4年2月22日までの期間においても存在するはずであるが,公開(一部公開を含む)されていない。また,令和4年4月14日付けで調布市個人情報保護審査会が市に提出した「東京外かく環状道路事業における市の個人情報の取扱いについて」意見書において,市民(個人・団体)から東京外かく環状道路事業に関する問合せ,相談及び要望等があったことが明らかになっており,本件請求に係る期間においてもこれらと同様の市政情報が存在していた可能性がある。さらに,市長の公務日程によると,令和3年12月20日,令和4年1月11日及び同年2月15日に外環3事業者が調布市長,副市長,外環担当ら調布市役所において面談しているが,その面談内容の記録等は,公文書を適切に作成・管理する真っ当な行政機関であれば存在するはずだが公開されていない。  そのほか,調布市,特に都市整備部街づくり事業課及び都市整備部外環担当が,外部,特に外環3事業者や沿線自治体や住民等との間で日々やりとりしている情報は多くあるだろう。  処分庁は,個人からのものは全て請求対象でないとの勝手な解釈をもとに何年も前から除外してきたとのことであるが,個人から入手した情報は除外してよいと審査人との合意があったという証拠はなく,審査請求人の認識とも異なっている。審査請求人は,令和3年10月中旬においても,まちづくり事業課の担当者に対しEメールがあるはずなのに公開されないのはなぜかという確認をしており,本件の情報公開請求時点では,住民(個人・団体)と調布市のやりとりのEメールを含むものを審査請求人が求めていることを処分庁は認識しているはずである。   イ 探索の範囲について  処分庁は,「本件情報公開請求の対象となる文書の存否を確認するため,執務室等の行政文書を保管する場所及びコンピュータ上の電子ファイルを改めて探索したが,新たに該当となるものはなかった。」と主張しているが,Eメールが短期間に削除される異常な運用が日常化しているとのことなので,情報公開決定時点から3ケ月(以上)後の「改めて探索した」時点において存在してなかったとしても不思議ではなく,それでもって情報公開決定が適切にされたとまでは言えない。言えるのは,「改めて探索した」時点で同じ内容の情報公開請求が出されれば,存在しないということに過ぎない。 4 処分庁による本件弁明書等の趣旨   本件弁明書等による処分庁の主張を要約すると,おおむね以下のとおりである。 (1) 弁明の趣旨    「本件審査請求を棄却する。」との裁決を求める。 (2) 本件審査請求に対する主張要旨  本件審査請求は,本件処分にかかる文書の特定が不当なものとして処分を取り消すよう求めていることから,次のとおり弁明する。   ア 文書の特定について   審査請求人は,従前から本件情報公開請求とほぼ同一件名で情報公開請求を繰り返しており,対象文書の特定について審査請求人と確認してきた。その際に,本件情報公開請求のような東京外かく環状道路事業に関する情報公開請求の対象は,あくまで関連する外環3事業者又は他自治体と市との間のものに限り,個人からの意見等は除く旨確認してきたため,本件情報公開請求についても同様の認識の下で対応したものである。なお,令和4年3月に審査請求人が新たに別の情報請求を行った際,個人からの問合せ等を請求の対象外とするつもりはないこと及び本件決定について個人からのものを含めていないことは承知したが,次からは含めてほしいことを対話で確認しており,実際,令和4年4月26日に審査請求人が行った情報公開請求からは請求件名にその旨の記述が加えられている。  また,審査請求人が文書の存在を主張する市長と外環3事業者との面談記録については,その内容・性質から議事録を取っていないため,面談記録は存在しない。   イ 探索の範囲について   文書の特定にかかる探索の範囲については,本件情報公開請求の対象となる文書の存否を確認するため,執務室等の行政文書を保管する場所及びコンピュータ上の電子ファイルの探索を行った。本件請求は,請求の件名に「「調布市(都市整備部,環境政策課)が保有する」と指定があることから指定部署が保管・保有する文書を探索範囲とし,探索を行ったことから探索の範囲に不適切な点はない。  また,本件審査請求がなされた以降においても,対象となる文書の存否を確認するために執務室等の行政文書を保管する場所及びコンピュータ上の電子ファイルを改めて探索したが,本件処分において対象となったものを除き,対象とすべき文書は見つけられなかった。 5 審査会の判断  当審査会は,審査請求人の本件審査請求書,本件反論書及び本件口頭意見陳述等における主張並びに処分庁の本件弁明書及び理由説明における主張を具体的に検討した結果,以下のように判断する。 (1) 本件請求の経緯 ア 令和3年11月,市政情報公開請求の手続過程において個人情報の不適切な取扱い事案が発覚した。本事案の内容は,東京外かく環状道路事業(以下「外環事業」という。)に関する市民からの市政    情報公開請求において,市政情報公開請求書の写しを電子メールに添付して当該文書等を作成した    機関に送信し,その際,請求者名等の記入欄にマスキング処理を施すことなく送信したことにより,    請求者の個人情報が当該機関に漏えいすることとなったものである。   イ これらについて本事業に関する市の所管部署である都市整備部で事実確認を行ったところ,街づく    り事業課において令和3年6月10日から同年10月29日までの市政情報公開請求書の写し9枚を    電子メールで事業者へ送ったことが判明し,市は11月10日に「個人情報の漏えいに関するお詫び    と御報告」として市ホームページでの公表を行っている。 ウ 令和4年2月の本件請求時における外環事業に関する所管部署は,都市整備部外環担当であったが,その後,組織改編があり,令和6年4月から都市整備部まちづくり推進課となった。そのため,本件答申時における処分庁は都市整備部まちづくり推進課である。 (2) 請求の範囲について  本件審査請求では,特定の文書が請求の対象とされるべきであったかという文書の特定について争点となっていることから,請求の範囲について検討する。  まず,本条例第6条では市政情報の公開の請求の方法を定めており,同条第2項第2号に市政情報公開請求書に記載する必要がある事項として「公開を請求しようとする市政情報を特定するために必要な事項」と規定していることから,請求の範囲は,市政情報公開請求書に記載された内容に基づき判断するものである。  次に,市政情報公開請求は,特定の事件関係者に限らず請求できる制度であるから,基本的には,先入観を持たずに通常人の読解力を基準として市政情報公開請求書の記載内容を解釈すべきであって,市政情報公開請求を受けた実施機関で独自に市政情報公開請求書を理解してそこに特定の意味付けを行うことは適当ではない。逆に,文書の存在を応答したことに対して,市政情報公開請求者が独自の解釈に基づく独自の意味付けをしたとしても,それをもって当該請求者の当該解釈ないし意味付けが直ちに是認されるものでもない。  本件の請求する市政情報の件名又は内容は,「調布市(都市整備部 環境政策課)が保有する東京外環道事業に関する,2021年12月28日〜2022年2月22日の期間に調布市が作成したり,外部から入手したり,外部に提供した文書・写真・Eメール等電子データを含む情報一式(原則電子データで交付を)家屋解体に関するものは除く」である。前述のとおり,市政情報公開請求書の内容は通常人の読解力を基準として解釈すべきであることから,「事業に関する情報」といった場合,「事業自体に関する情報」と解するのが自然であり,「事業自体に関する情報」とは,一般的に事業の計画や進捗,協議,意思決定,結果等,事業の実施に関する情報を指すものと考えられ,事業に付随して実施機関に寄せられた個人からの相談や意見等までをも当然に含むものと解することはできない。  また,審査請求人と処分庁の主張は食い違っているものの,審査請求人が住民(個人・団体)と調布市のやりとりを含む情報を求めていることを処分庁が認識しているはずであったと主張する根拠は,別に行われた情報公開請求に関連してEメールがあったか否かを確認したものであって本件請求の範囲について言及されたものではなく,請求日時点において本件請求が事業に付随して実施機関に寄せられた個人からの相談や意見等までを含むものであるという意味付けのされた請求であったことを推認するような事実を認めることはできなかった。  以上により,本件請求における請求の範囲は,「東京外環道事業自体に関する情報」であり,事業に付随して実施機関に寄せられた個人からの相談や意見等を含むものではないと判断する。 (3) 本件請求にかかる文書の特定について  本件処分において全部公開された本件開示文書の内容は,外環事業の工事における地盤調査に係るお知らせやシールドトンネルエ事のお知らせ,再発防止対策および今後の対応などに関する説明会資料及び説明への質問とその回答のとりまとめ,東京外かく環状道路事業連絡調整会議の会議結果,地盤調査状況及び地盤補修に関する検討状況の説明会資料・質疑応答等であり,その性質は「東京外環道事業自体に関する情報」といえる。    他方,審査請求人が本件反論書等で本件請求の対象文書であると主張している住民団体や個人(外環被害住民連絡会・調布や被害住民など)と調布市との面談記録や問合せ・回答のやり取りメール等についてはその面談内容の記録等は,事業の計画や進捗,協議,意思決定,結果等,事業の実施に関する情報と解することはできないことから,「東京外環道事業自体に関する情報」又はそれに準ずる情報とはいえず,本件請求の対象であったと認めることはできない。  また,同様に審査請求人が本件請求の対象文書であると主張している,令和3年12月20日,令和4年1月11日及び同年2月15日の調布市長と外環3事業者との面談記録は作成していないとする処分庁の説明に,特段不自然,不合理な点があるとはいえず,これを覆すに足りる事情は認められない。  加えて,本件請求時における文書の特定にかかる探索の範囲に関する処分庁の説明等を踏まえると,本件開示文書のほかに本件請求に該当する文書は保有していないとする処分庁の説明に,特段不自然,不合理な点があるとはいえず,これを覆すに足りる事情は認められない。  よって,本件請求にかかる文書の特定は,妥当である。 (4) その他 その他,審査請求人は,るる主張しているが,当審査会の判断に影響を及ぼすものではない。  (5) 結論 よって,「1 審査会の結論」のとおり判断する。 6 当審査会の処理経過   当審査会は,本件諮問について以下のように審査を行った。 年月日 処理経過 令和5年2月14日 審査庁から提出された本件諮問書等を受理 令和7年7月9日 情報公開審査会(令和7年度第2回) 本条例第24条の規定による審査請求人の口頭での意見陳述, 処分庁の事情聴取 令和7年8月21日 情報公開審査会(令和7年度第3回) 審査 令和7年11月12日  情報公開審査会(令和7年度第4回) 審査 7 調布市情報公開審査会委員 職名 氏名 備考 会長 草川 健 弁護士 副会長 井上 寛 弁護士 委員 稲益 和子 弁護士 委員 佐藤 惠子 市民