議員提出議案第4号 衆議院議員総選挙の執行における基礎自治体の負担軽減と国民の権利の保障に向けた抜本的対策を求める意見書提出について 上記の議案を提出する。 令和8年3月19日 提出者 調布市議会議員 山根 洋平 賛成者 調布市議会議員 松野 英夫 同 青山 誠 同 井上 耕志 衆議院議員総選挙の執行における基礎自治体の負担軽減と国民の権利の保障に向けた抜本的対策を求める意見書 先般執行された第51回衆議院議員総選挙は,解散から投開票までが戦後最短となる極めて異例の短期決戦であった。この超短期の日程は,投開票所の確保,入場券の印刷・郵送,期日前投票所の設営など,執行を担う市区町村選挙管理委員会の実務において,物理的な限界を超えた負担を強いる結果となった。 特に,執行時期が地方自治体にとって最も多忙な新年度予算案の編成及び審議の時期と重なったことは,現場の混乱に拍車をかけたと言える。基礎自治体の職員は,住民生活に直結する予算編成業務と,膨大な選挙事務という2つの重要業務の並行を余儀なくされ,多くの自治体において,事務ミスのリスク増大や職員の過度な疲弊が現実のものとなった。 さらに,今般の選挙においては,行政の業務にとどまらず,市民生活に対しても具体的かつ深刻な影響が生じた。急遽決定された投開票所の設置に伴い,公共施設の利用を予定していた市民の既存予約が直前になってキャンセルとなることを余儀なくされた事例が発生し,代替施設の確保に支障が生じる事例もあった。加えて,解散から投開票日までの日程があまりに短期であったため,海外に在住する有権者が郵便投票をする際に手続が間に合わず,在外投票の機会を実質的に失った事例も確認されている。これは投票機会の確保という選挙の根幹に関わる問題であり,執行体制の脆弱性が憲法上の権利保障にまで影響を及ぼしかねないことを示すものである。 衆議院議員総選挙の執行は「法定受託事務」であり,本来は国がその円滑な運営に全責任を負うべきものである。今般の選挙で露呈した基礎自治体の事務能力に過度に依存した現在の執行体制は,もはや持続可能とは言えない。今回の経験を教訓とし,今後同様の事態を繰り返さないよう,制度上の抜本的な改善が必要である。 よって,国におかれては,下記事項を速やかに実施するよう強く要望する。 記 1 今後の衆議院の解散・選挙期日の決定に当たっては,基礎自治体の準備実務(選管事務,投票所設営,広報等)を確実に完遂できるよう,解散から投開票日までに十分な準備期間を確保することを制度的に担保すること。 2 投票所として利用される公共施設の確保に当たっては,既存の市民利用予約との調整に関する基準・補償の枠組みを整備し,住民の日常生活への影響を最小化するための方策を講じること。あわせて,在外投票に必要な手続期間を勘案した最低限の選挙日程を法令上明確に定め,全ての有権者の投票機会を実質的に保障すること。 3 国政選挙の執行というように,従事する職員に対して特に高度な緊張を強いる負担の大きい法定受託事務において,人員が不足する基礎自治体の負担を軽減するため,国家公務員や都道府県職員を市区町村選挙管理委員会に積極的に派遣する等の実効性ある支援・バックアップ体制を構築すること。    以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和8年3月 日 調布市議会議長 宮本 和実 提出先 内閣総理大臣  総務大臣  衆議院議長  参議院議長